2019年7月10日水曜日

石居のお早う日記 2019年  -167-


7月10日 水曜日 曇り

 予報では日中晴れ間があるようなことを言っていたが、明るくはなっても日はささなかった。郵便を出しに出たほか外出はしなかった。今日は、最初にアムステルダムで買ったお人形とモスクワ空港のロシア人の話をし、それから今日の日記に移ることにした。


 30年近く前のことだったと思う。オランダに行くのにロシアの航空会社アエロフロートを使った。モスクワで乗り換えになるのが面倒なのだが、何せ運賃が安かったからである。ただ当時のモスクワ空港での乗り換えは監視や荷物のチェックなどが厳しくて、心地よいものではなかった。

 アムステルダムでかなり出来のいい陶器の人形を買った。ベールをかぶり、壺を抱えた水くみ少女の姿の人形だった。壊れるといけないので、機内持ち込みのカバンに入れてアエロフロートの飛行機に乗った。
 例のごとくモスクワ空港で乗り換えとなり衛兵が見張ってる間を通って、待合室に入った。1時間かそこらたってから、いよいよ東京に直行する便への登上時間となった。待合室の出口近くで持ち物のX線検査がある。検査係は典型的な太った不愛想なおばさんで、僕のことを「この資本主義の犬が」と言わんばかりの顔で睨みつけ、僕のカバンが写っているブラウン管に視線を移した。ところが突然おばさんが「おースザンナ」ではなく「おーマドンナ」と叫び、ほかの係官たちにも声をかけた。びっくりしている僕に、おばさんはなんと英語で「このマドンナは木製か、陶器製か、どこで買ったんだ」と矢継ぎ早に尋ねたのだった。
 こうなったら、まさか水くみ人形だとは言いにくくて、陶器製でオランダで買ったとだけ答えた。ブラウン管にはマリア像そっくりな形の人形の影が輝いていて、集まった係官がみな敬虔なまなざしで見とれていた。同時に、彼女ら、彼らの僕に対する態度が親しげになりあたりの雰囲気が柔らかになった。
 その次の磁気による体の検査で僕の大きなバックルが引っ掛かり、ブザーが鳴ったのにもかかわらず、男性の検査官は立ち止った僕に対して彼もにこにこして、いいからかまわず行けと肩をたたきながら僕を出口に押し出してくれた。
 
 この事件で僕はロシア人に対する考えが変わった。あのおっかない顔した融通の利きそうにない、コチコチの共産主義者だと思っていたロシア人の多くは、実はマリア様を崇拝する素朴で敬虔なロシア正教徒なのだと知ったのである。 きっと彼らも、日本人は皆、資本主義の走狗で、金もうけしか考えてないやつらだと教育されていたのに、実際はマリア像を買い込んで、一生懸命身に着けて持って帰っている、敬虔なキリスト教徒なんだと
思ったに違いない。
 
 この経験を通して、僕は人種に対する、あるいは国に対する先入観は捨てるべきだと学びました。以下の2枚の写真が今も我が家に飾ってあるマリア像ならぬ水くみ娘像です。







 次の写真から今日の写真日記です。

今日も朝は20℃以下と涼しい





九州から中国地方にかけて雨域があるが、関東にはない





前線は九州から四国付近あるが東のほうは南に下がっている




5時ころの南の空





夕方の空





近くのスポーツクラブ





二千数百歩しか歩いてない






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